ARMをソフトバンクが買収した意味と今後の可能性予想

2016年7月23日

2016年7月18日、ソフトバンクがARM買収を正式発表。

現実になる時期はARM全株式の買い取りが完了する9月。ARMとはインテルやAMDとはやや違う方式でCPU、プロセッサで利益を出している会社。どのような影響があるか考えて参りましょう。

先にARMという企業について。

ARMホールディングスとは?

調べるとか面倒なので、この手の良記事が上がるのを待っていた。

合計7ページもある長文なので要点を書き出して参りましょう。ARMという企業を詳しく知るなら全文完走をおすすめ。面白かったので文字嫌いな私でもサクサク読めた。

ARMという企業

読み方はアーム。何をしている会社かはモバイル端末のCPU部分の設計屋で、どのくらいのシェアを占めているかはこの図が分かり易い。

arm-mobile-share

スマホならば9割がARMプロセッサ、タブレット・パソコンの50%はタブレットが大半を占めていると考えてよろしいかと。

大きなくくりでは右上、半導体市場全体の35%がARMという凄まじい大きさ。しかし知名度が高くは無い理由は、インテルなどとは少々事業内容が違う為。 

ARMの事業内容

スマホやタブレットで、「CPU何だろう?」と思った際に出て来る仕様にARMの文字は入っておらず、NVIDIAのTegraとかAppleのA9プロセッサ搭載などの表記。

これらが実はARMプロセッサという、やはり分かり易い図を拝借。

ARMのビジネスモデル

インテルやAMDがCPUを自社で開発設計し製造して販売するところ、ARMは最初の段階しかやっておらず、その設計図を販売し、売れた分だけロイヤリティを貰うという方式。

利点はCPUという物を製造も在庫もしないので経費が掛からずフリーキャッシュフロー抜群、メーカー側も自社で開発からやるより安いし早いのでARMから買っている形。

楽譜を購入し演奏して著作権料を支払っている感じですな。JASRACのようなインチキでは無い方法で。

ARMの経営方針

モバイル市場のプロセッサはARMが独占しているようなものなのだから、ロイヤリティの約4.7円は安すぎる。

その理由を引用。

ARM社内でできる部分もありますが、やりません。エコシステム維持のためです。「成功を共有し合う」という考え方は、設立当初からのARMのDNAとしてわれわれに刻み込まれています。

もう一箇所。

ロイヤルティに対する考え方は、常にフェアな価格を維持することです。「価格を上げればもっともうかる」とよく言われますが、あくまで成功を共有し合うという原点に立ち返っています。

一部の市場では価格を上げることは可能でしょうが、絶対にしません。どの市場でも、ARMのIPを採用すると付加価値が上がり、より大きなリターンが得られる仕組みを作ることが狙いです。

という、殿様ビジネスなインテル様や押し付けマイクロソフト様らとは逆のような考え方で成り立っており、簡単にいえば、「持ちつ持たれつを維持する事で、ARMが好まれ買い続けてくれる」という良心的な方針。

珍しくWikipediaが簡潔で分かり易いのでこちらもおすすめ。

ARMホールディングス - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ARM%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B9

その良心的な企業をソフトバンクが買ってしまった。

 

ARMをソフトバンクが買収した意味と今後の可能性

著名人のお三方の感想文。

なぜソフトバンクはARMを買収したのか? ~大河原氏、笠原氏、山田氏の視点 - PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/howtoreadnews/1011028.html

なぜ買収したのかはここ。

IoT(Internet of Things)の領域において、極めて重要な位置付けを担っている点が見逃せない。家庭内で使われるさまざま機器や、今後さらなる電子化が進展する車などにも、ARMの活躍の場はある。そこに孫社長は目を付けている。

IoT、モノのインターネット。PCやスマホがネット接続できるのは当然として、今後はエアコンや炊飯器などもネット接続する時代へ。

スマホからBluetoothなどで繋がるのでは無く、家電が直接Wi-FiやLTE回線などでネット接続されて自動化などに役立つ感じ。そのプロセッサとしてARMが主役になるのは当然。

なぜ買収されたかが分からなかったけれど、笠原市の予想が当っている気がしないでも無し。

100%子会社であれば、株主はソフトバンク1社であり、ソフトバンクの了解さえあれば、経営者は自由に経営できるので、短期的には赤字になってしまうような大規模な開発といった大胆な戦略も可能になるだろう。

しかし、この続きが納得行かない。

そう考えれば、ARMが当然ほかにもあったであろう選択肢の中からソフトバンクを選んだというのも納得がいくのだ。

ARMが選んだとするなら、なぜソフトバンクなのか理由が解らない。

これらの前の文章でも予想は書かれているものの、

ソフトバンク側はARMおよびイギリス側が出した条件(価格、現経営陣を維持する、雇用を維持する、本社をイギリスから移動しない)などを全部丸呑みしたのではないだろうか。

説得力としては弱いと思う。そのくらいでARMを3兆円で買えるならば、マイクロソフトやAppleなどが黙っていなかったはず。

次、山田氏の予想。

このニュースは、今の時点ではどちらかというとIT案件というよりも投資案件であり、ARMのオーナーが変わったところで何も状況に変化はないのではないか

世間では、英国EU離脱によるポンド安のタイミングで買ったのは上手いと言われており、今後のIoTによるARMの成長は確実なのだから投資と考えられなくも無いけれど、それだけが理由とも思えない。

  • なぜARMは身売りしたのか?・・・株主1社になり自由度高い?
  • なぜソフトバンクは買収したのか?・・・IoT普及を見越した投資?
  • なぜARMはソフトバンクを選んだのか?・・・条件全て飲んだから?

ARMはシェアがデカく将来的に明るい企業。しかし、企業としての価値は意外と安いと私も驚いた点が山田氏と同じ感覚。

孫氏は「たかが3兆円」と表現しているのだが、そもそもARMが約322億ドルで買えてしまうことの方が驚きでもある。

となると、黒字経営の優良企業ではあるものの、利益優先していないので売上は低め。そこで利益優先のようなソフトバンクを身売り先に選んだARMが一体何を考えているのか謎すぎる。

 

奴はとんでもないものを買収していきました感(まとめ)

大手メディアでは買収額やソフトバンクが買った辺りに注目されており、今後はソフトバンクによる後ろ盾がARMという前衛を支える事によりIoTの分野で活躍するだろうという楽観的な考えが多め。

しかしARMという武器を前向きな方向でのみ使えば良いけれど、今頃ビビっているのはドコモやAppleなどソフトバンクの立ち位置が変わってしまった企業では無かろうか。

分かり易くBTOパソコンへと置き換えると、ドスパラがインテルを買収したようなもので、やろうと思えばドスパラがパソコンのCPU市場をコントロール出来てしまう感じ。

インテルならば一応競合しているAMDの存在があり、無茶をすればドスパラの競合他社はAMDへ逃げる手もあるところ、ARMには競合となるレベルの企業が見当たらない。

PC Watch、笠原氏の話が具体的。

当初はARMを従来と同じように回すとしても、結局会社はオーナーのものだ。どこかのタイミングで、孫氏が完全な主導権を持つようになるだろう。

その時、孫氏の立場は、Appleから製品を卸してもらう立場から、Appleに製品を卸す立場に180度変わることになる。

正確には製品ではないけれど、分かり易くそう表現されているのでしょう。

AppleのみではなくSAMSUNGもソニーも、大きなくくりで言えばドコモやau、それどころか海外のAT&TやVerison、もっといえばBMWやGoogleなどもソフトバンクから卸してもらう立場に。

今後IoT関連が拡大するなら関わる企業は全てソフトバンクが頼りになるのは、ARMが自然と一人勝ちし続けていた実績があるわけで。

やりすぎると第二のARMが誕生するやも知れず、ARMに頼らない自社プロセッサの開発をし始める可能性もあるけれど、今のところの今後はソフトバンクが主導権を持った。

なぜARMを買ったのかでは無く、なぜARMが売ったのかの方が重要。ARM幹部はソフトバンクという企業や孫正義という人間がどのような商売をするか知らないのだろうか。

従来のARMの方針とは逆のような企業がソフトバンクだと思う。

今月のオススメBTOパソコン

リンク用ソース

コメント(3)

>ARM
読み方は「アーム」だったのですか。ずっと「エーアールエム」とそのまま読んでいました。もとの社名は「Advanced RISC Machines」で、98年に「ARM」に変わったようですね。

>ロイヤルティに対する考え方は、常にフェアな価格を維持すること
一方だけが大きく儲ける価格設定だと、長期の取引は難しいですからね。またその場合、ロイヤリティは高くても良いから他の面で融通を利かせる、という形での「持ちつ持たれつ」が必要になります。

金額面で不満が出ないなら、相手もこちらへ強く出られない訳で。フェアな価格とは上手い形ですね。


ここでVIAがARMの対抗馬として名乗りを上げて来たら面白そう。

日本電産・永守会長「ARMは3300億円でも買わない」 屈指のM&A名手がまさかの「暴露」 : PCパーツまとめ
http://blog.livedoor.jp/bluejay01-review/archives/49149236.html
この辺の世界はよくわからないけどw 147に同意w

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BTOパソコンメーカー比較

パソコン工房

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DELL

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2011年頃から安く無くDELLを選択肢に入れる理由が薄く回線抱き合わせ販売の価格がまぎらわしい。ゲームPCのAlienwareは見た目重視コスパ最悪なので要注意。

日本HP

高性能: ★★★★ 長保証: ★★

コスパ: ★★★☆☆ 安保証: ★★

部品選: ☆☆☆☆

高性能ノート以外は見る価値が薄く高額なLenovoという感じ。早々にWindows 7を捨て8に切り替えたので7が必要なら行っても無駄。2012年後半から迷走中。

TSUKUMO

高性能: ★★★★ 長保証: ★★

コスパ: ★★☆☆☆ 安保証: ★★

部品選: ★★☆☆☆

ヤマダ電機による買収後はマニアックな感は無くなり家電通販のような普通のパソコン屋に。BTO PCは機種が少なくやや割高。ツクモファンなら選択肢へ。

FRONTIER

高性能: ★★★☆☆ 長保証: ☆☆☆

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2013年7月に(株)KOUZIROが倒産しヤマダ電機子会社インバースネットが続投。長期保証が消滅。これと言った特徴が無く難点は有れど利点が見当たらない。

サイコム

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※並びはBTOメーカーの知名度の順。大小関わらず信用できない要素があるメーカーは未掲載。

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